菊花賞予想|調教ニュースまとめ



リアルスティール

『菊花賞』リアルスティール、矢作師【折り合いは心配していない】

◆菊花賞追い切り(21日・栗東)

 牡馬クラシックの最終戦、菊花賞(25日、京都)でG1初制覇を狙うリアルスティールが21日、栗東の坂路で追い切りを行い、併せ馬で5馬身先着した。福永祐一騎手(38)=栗東・フリー=が付きっきりで調教をつける皐月賞2着馬の仕上がりを、橋本樹理記者が分析した。

 開門20分後。リアルスティールがようやく栗東の坂路を上がってきた。注目したのは、もちろん折り合い。しかし、目に入ってきたのは、手綱を短く持ってなだめる福永の姿だった。アルスマルカート(7歳1000万)の後ろで懸命に抑え、ラスト1ハロン手前で手綱を解放すると、内からあっさり抜き去って5馬身置き去りにした。

 「タイム(53秒6―12秒6)、動きともにすごくよかった」という福永の言葉には同感だが、やはり折り合いが気にかかる。前走の神戸新聞杯後に初めてコンタクトを取った8日以降、追い切り日以外にも騎乗。ハミの取り方をチェックしてきた。その成果はどうか。「坂路だと行く気になって、コースで乗るよりハミを取って行くからね。その割にリラックスしている方。でも、完璧とまではいってないかな」

 リアルスティールの反応の良さや機動力は、いわゆるステイヤーのものとは違う。スタミナ決戦を乗り切るため、いかに体力を消耗せずに折り合うか。自分からハミを取りすぎないよう、中3週で“モデルチェンジ”を試みたが、完全にはシフトできなかったという。

 そんな福永が最終的に出した答えは、パートナーの力を信じること。「血統的に見ても3000メートルがベストでないのは明らか。その中でここを選んだのは、勝ちに行くということ。勝利のみを目指していくレースをする。そこのポジションにいたら勝てない、という競馬はしない。馬を信じて行くわ」。父のディープインパクトなど適正距離を乗り越え、王冠を勝ち取った例は過去にもある。迷いのなくなった口調に強い意気込みがうかがえた。(橋本 樹理)

 
 
リアファル

『菊花賞』リアファル4F51秒6古馬並み迫力に折り合い完璧 

 3冠最終戦「第76回菊花賞」の最終追い切りが21日、美浦、栗東トレセンで行われた。神戸新聞杯を完勝した上がり馬リアファルは坂路4F51秒6の好時計でパートナーに堂々の首差先着。後肢はたくましさを増し、古馬顔負けの迫力。完璧な折り合いも見せて初の3000メートル克服の原動力になりそうだ。砂デビューの異色クラシック馬誕生の期待が一気に高まってきた。なお、同レースの出走馬、枠順は22日、確定する。

 神戸新聞杯Vで主役に躍り出たリアファルが貫禄の先着だ。併せたブラックスピネル(2歳500万)は1歳後輩とはいえ、坂路で4F50秒8を計時したこともある素質馬。道中はしっかり折り合い、最後の手応えは“難敵”の方が上回ったが、力任せにねじ伏せて首差先着。4F全体は51秒6の好時計。1F12秒9としぶとく踏ん張った。

 騎乗したルメールは「追い切り前は少し興奮した面はあったけど、動きは凄く良かった。満足です」と思わず笑顔だ。

 春先まではソエ(若駒特有の管骨骨膜炎)の影響でダート路線を歩んだが、芝転向後は無傷2連勝。前走・神戸新聞杯は余裕の逃げ切りで、断然人気リアルスティールに2馬身差完勝。底知れぬスケールを印象付けた。

 芝初戦の2走前のマレーシアC(中京)から騎乗する鞍上は「中京の時が強かったので、前走も自信があった。大きくてパワフル。スタートも速いし、コントロールしやすい。菊花賞はスタミナが鍵だけど、その点も大丈夫。何の不安もない」と称賛の言葉を続けた。

 音無師も「想像を超えてます」と芝の快進撃に驚きを隠さない。さらに「スタートしておっつけなくてもハナに行ける。それでいて、最後の瞬発力も残っている」と分析。テン良し、中良し、しまい良し。現代競馬にマッチしたG1候補生だ。

 目下逃げ切り2連発。最大の注目は戦法だ。菊花賞初参戦のルメールは「前走も強かったし、逃げるスタイルを変えるつもりはない」と堂々の逃げ宣言で、98年セイウンスカイ以来の逃走Vを見据えた。「折り合えるのは長所。春の天皇賞(京都3200メートル)は乗っているので、菊花賞のイメージもできている。たぶん1番人気か2番人気。今年最後のクラシックをぜひ勝ちたい」。頼れる巧腕は今春JRA移籍後のG1初制覇を誓った。

 
サトノラーゼン
【菊花賞】サトノラーゼン行きっぷり『ガコーン』岩田絶賛
 

 ダービー2着馬サトノラーゼンの最終追い切りに騎乗した岩田が興奮気味にまくし立てる。

 「凄い。申し分ない動きだった。使ったことでガスが抜けて先週はうまく折り合っていたけど、けさはガコーンと行った。ガコーンと。いい意味で、行きっぷりが凄いなと」

 CWでカルナヴァレスコ(3歳500万)の内に併せ、引っ張りきりで4F54秒7~1F12秒4。肉眼で“ガコーン”の瞬間は確認できなかったが、手綱から伝わる感触に名手がしびれた。うまく闘志に火が付いた。

 1番人気に支持されたセントライト記念(7着)を振り返り、鞍上は歯ぎしり。「2、3番手なら勝ってた。悔しかったけど、この悔しさを菊にぶつけたいと思う」。前哨戦はあくまで前哨戦。折り合いに専念した“策”が本番で最高の結果を導き出す。ローズS2着をステップとし激戦の秋華賞を制したミッキークイーンのように。

 そのクイーンに続く2週連続G1制覇が懸かる池江師も好勝負をイメージする。「上積みもあるし叩き良化型。気持ちも入って走りたがっている」と話し、距離に関しても「やってみないと分からないが、縦長になる菊花賞は意外に折り合える」と意に介さない。ディープインパクト産駒は菊花賞は勝てない――のジンクス。覆すならこの馬だろう。

 

スティーグリッツ

【菊花賞】スティーグリッツ絶好調、前走は2500m戦、長距離適正に自信

 

 「菊花賞・G1」(25日、京都)

 絶好調だ。スティーグリッツの最終リハは21日、栗東坂路で単走。序盤はゆったりと入り、馬場の中央を真一文字に駆け上がる。最後も軽く促す程度だったが、脚さばきは実に軽快。楽な手応えで4F53秒6-39秒3-13秒0を計時し、友道師は「予定通り。先週も良かったが、きょうもしまい重点で良かった」と納得の表情だ。

 前走はトライアルではなく、中山芝2500メートルの九十九里特別に出走。指揮官は「ちょっとでも距離があった方がいいと思ったから」とステイヤーとしての資質を高く評価する。2カ月ぶりの実戦で、プラス6キロの504キロだった馬体重については「今回は絞れるんじゃないですかね。体もシャープになってきた。コンディションは今までで一番いいと思う」と自信をのぞかせた。

 全6戦で掲示板を確保。近4走は条件戦とはいえ、古馬とのレースを経験し、着実に力をつけてきている。「真面目ですよね。(2走前に)中京で勝った時もそうだが、本当に長くいい脚を使ってくれる」と期待する。鞍上は08年オウケンブルースリ、12年ゴールドシップと菊花賞で2戦2勝の内田博。抜群のレース相性を誇る名手の手綱で、一気にG1制覇を成し遂げる。

 
キタサンブラック
【菊花賞】キタサンブラック併入フィニッシュ言うことなし
 

 キタサンブラックはCWコース併走追い。同じ馬主のキタサンミサイル(2歳未勝利)をパートナーに鼻面を並べての併入フィニッシュ。

 「6ハロンから前に馬を置いて、直線は反応を確かめてもらった。動き?言うことなしです」

 共同記者会見の席で清水久師の表情は自信に満ちていた。さらにセントライト記念は想定外の勝利だったと明かした。

 「出来は100%に程遠く、次(菊花賞)と考えていた中での結果。今は1回使ったことで行きっぷりも全然違う」

 普段から調教をつける黒岩も「前走は緩かったのにあの勝ちっぷり。今はハミの取り方からして違う」と証言した。

 勝てばオーナーの北島三郎が表彰式で名曲「まつり」をファンの前で熱唱することが約束されているが、その時が刻一刻と迫ってきた。